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『不思議の国のアリス』をはじめとする古今東西のナンセンス文学には、人を惹きつける魅力があります。ここで紹介するただのCoさんは、ナンセンスな歌詞を使った独特の世界観が人気のボカロPです。以下ではただのCoさんの人気曲や、世界観を支えるイラストを紹介します。

ただのCoってどんなボカロP?

ナンセンスな歌詞と電子音を多用したメロディで、独特な世界観を作り上げるボカロP・ただのCo(しーお)さん。ここではただのCoさんの人気曲とご自身が描かれている素敵なイラストを紹介します。

美大出身のただのCoさんは、作詞作曲だけでなく、イラストも動画も全て自分で作れるマルチな才能を持つボカロPです。2017年3月22日現在12曲をニコニコ動画に投稿しており、そのうち5曲が殿堂入りを果たしています。

2014年以降製作ペースは落ち込んでいますが、現在も1年に1本ずつ新曲を発表しています。

【初音ミク】 〇月×日ずっと 【オリジナル】

こちらが2013年2月9日に投稿されたデビュー曲「〇月×日ずっと」です。現時点で約7.2万回再生されていますが、とても初投稿作品とは思えない完成度で、タグにもある通りもっと評価されるべき1曲です。

「〇月×日ずっと」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm20036034

意味があるようでないようなナンセンスな歌詞、染み入るような優しい電子音のメロディ。この独特の気持ち良さは、デビュー曲の時からすでに全面に出ています。ただのCoさんが描いた初音ミクちゃんのイラストも抜群に可愛いです。

ちなみにこの時の名義は「1Co」。ただのCoの名義は2曲目から使われるようになりました。ご本人の「askfm」によれば名前の由来は「Co」が「コバルトブルー」で、「ただの」は「何となく意味深な雰囲気」が出るからなのだとか。名前からして不思議な人です。

聴くのをやめられない!「ただのCo」の人気曲3選

以下では、ナンセンス文学を見事ボカロの世界で描いているただのCoさんの楽曲の中でも特に人気の3曲を紹介します。聴けばあなたもただのCo中毒にかかること間違いなしです。

【初音ミク∴薪宮風季】 故にユーエンミ― 【オリジナル】

人気第1位は2014年2月13日に投稿され、現在30万回以上再生されている「故にユーエンミ―」です。ボーカルは初音ミクちゃんとUTAUの薪宮風季くん。2人がただのCoさん独特の恋愛観を歌います。電子音とピアノの旋律が美しい1曲です。

「故にユーエンミー」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm22877529

歌詞だけを読むとただのCoさん流のナンセンスなワードに惑わされて、なんとなくしかメッセージを読み取れません。しかしただのCoさんのFC2ブログを拝見すると、そこには少しだけヒントが書かれていました(ブログエントリはこちら)。

「出会った2人は必ずしもお互いに唯一の存在ではない。しかしその真実の前でも、互いが互いを選んだことは確かで、それこそが愛なのだ」筆者はこのヒントからこのように解釈しました。みなさんはこの歌をどう解釈しますか?

【初音ミク】 ていていしんじゃえ 【オリジナル】

人気第2位は2014年9月30日に投稿された「ていていしんじゃえ」。現在28万回以上再生されています。特徴的なギターの音と電子音のハーモニーがポップなロック曲です。

「世間体(せけんてい)」の「てい」と、感嘆詞の「ていてい!」をかけた歌詞が特徴的です。聴いているとどの「てい」が世間体の「てい」で、どの「てい」が感嘆詞の「ていてい!」なのか混乱してきます。この混乱がただのCoさんの楽曲の醍醐味です。

「ていていしんじゃえ」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm24582707

こちらの曲コメントはただのCoさんのtumblrに投稿されています。要は「世間体なんてしんでしまえー!ていてい!」という曲なのだとか。ただ同時に世間体なしに生きていけない人間のジレンマも込められています(tumblrエントリはこちら)。

ただのCoさんの曲コメントを拝見していると、実はテーマは非常にシンプルなものが多いことに気づきます。それを「ていていしんじゃえ」のような歌詞に落とし込めるのは、ただのCoさんの文学的センスのなせる技といえるでしょう。

【初音ミク】 アルカリ成人 【オリジナル】

人気第3位は2013年6月5日に投稿された「アルカリ成人」です。現在で27万回以上再生されています。ここまで紹介した曲の中では動画が最も特徴的な楽曲となっています。

「アルカリ成人」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm21041502

星の入った目があちこちに散りばめられたイラストと、平仮名だけを太文字にした歌詞フォント、「カクカク」「シカジカ」などの言葉遊び。人気こそ第3位ですが、筆者としては最もただのCoさんらしいナンセンス味のある楽曲だと感じます。

FCブログの曲コメントによれば、この曲のテーマは「青さ」。大人になること、子供でいることについて、当時のただのCoさんなりに出した答えなのだとか。ナンセンスだけどセンスに満ち溢れています(ブログエントリはこちら)。

物語が始まりそう!「ただのCo」の素敵なイラストたち

ただのCoさんの魅力は楽曲だけでなく、その素敵なイラストにもあります。以下では他の楽曲に使われているイラストや、イラスト専用のTwitterアカウントに投稿されているただのCoさんのイラストを紹介します。

「愛憎のユーエフオー」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm24969743

こちらは殿堂入り曲の1つ「愛憎のユーエフオー」に使われているイラストです(動画はこちらから)。

楽曲自体も2014年11月22日に投稿されて、現在12万回以上再生されている人気動画ですが、この無機質なデザインとモノが宙に浮いているかのようなレイアウトのイラストも大きな魅力となっています。

「金持ちあいつはテトロミノ」

出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm20657613

こちらは2013年4月21日に投稿され、現在6.5万回以上再生されている「金持ちあいつはテトロミノ」のイラストです。机や試験管などのオブジェの配置や、カラフルなのにくすんだ色彩感覚が独特です。

楽曲自体も「もっと評価されるべき」「ききいるミクうた」などのタグがつけられている隠れた名曲なので、イラストで気になった人はぜひ楽曲も聴いてみてください(動画はこちらから)。

こちらはイラスト用のTwitterアカウントに投稿された1枚。ただのCoさんからすれば何気ない落書きなのかもしれませんが、一人一人の人物が雄弁で、ここから物語が始まりそうな予感がします。あと、右上の猫の手が可愛いです(笑)

こちらも同じくイラスト用Twitterアカウントの1枚。少年に向かって吹く風が見事に髪の毛の動きで表現されています。また濃淡を使い分けた黄色と紫のカラーリングがなんとも不穏な雰囲気をかもし出していますね。

こちらはラフに描かれた1枚ですが、人物の表情がそこはかとなく犯罪的で、微笑みが「あんたも共犯者だよ」と言っているかのようです。いったいこのあとこの人物がどんな人生を辿るのか、思わず想像をたくましくしてしまいます。

ただのCoさんのイラストは前述したtumblrにも投稿されていますので、もっと色々なイラストが見たいという人はぜひ覗いてみてください。

ハマったら抜け出せない!驚異の中毒系ボカロP

ただのCoさんの楽曲には、いったいどこへ向かっているのかと不安にさせるナンセンス歌詞と、レトロな電子音や歌詞の語音の繰り返しによる安心感が同居しています。この絶妙なバランス感覚がただのCoさんの楽曲の中毒性の原因なのかもしれません。

グミを作ったりしながら、ご自分のペースで素敵なイラストや楽曲を作り続けてほしいですね。それまで筆者はすでに発表されている中毒性抜群の楽曲を聴き込むとしますかね……。