このエントリーをはてなブックマークに追加

②MVのイラスト・色調が優しい印象に

これまで米津さんがハチさんとしてニコニコ動画で発表してきたボカロ曲ですが、ご自身製作のそれらのMVでは、暗い色遣いのものや、

開き直ったような原色系の色調が印象的でした。



ところが、アイネクライネのMVでは淡い色味で楽曲に優しいような、ポジティブな印象を与えてくれます。

ふりむき

米津玄師さんご本人が手ずからイラストを800枚描いたそうです。イラストというかアニメーションを作られたということですね。才能と労力の凄さに脱帽するばかりです。(「2度とやりたくない」と語っておられますが……)

③メロディが叙情的なものに変化

これまでの米津(ハチ)さんの楽曲は、「パンダヒーロー」、「ドーナツホール」、「MAD HEAD LOVE」では和音の構成音を追うようなアルペジオ的メロディ。

マトリョシカ」でも印象に残りやすいペンタトニックスケールを音程を大きく飛ばすインパクト重視のメロディ(サビ冒頭からして4度、「カリンカ~」は5度)などで、強い感情を表現していたことが多いように思います。(「ドーナツホール」、「MAD HEAD LOVE」は「アイネクライネ」と同じアルバムの収録作ですので、製作時期の前後は不明なのですが)

一方で、「アイネクライネ」ではスケールが大きく抒情的なメロディを歌いあげています。

これらの傾向は後に続くシングル「Flowerwall」「アンビリーバーズ」でも継承され発展していきます。



いかがだったでしょうか。このように、米津さんの楽曲は「アイネクライネ」を境に、歌詞もMVもメロディもおおむね暗く自己否定・他者否定的なものから、肯定的なものへと移り変わって言っているように思います。

最後に

優れたクリエイター自身が自分に誠実に作品づくりをしてくれる場合、その作品群にご本人の変化やドラマチックに表現され、あたかもその人自身が作品であるような輝きを放つものです。

米津玄師さんという優れた表現者の創作者としての人生と作品は、数年、数十年かけて目撃し続けることができる大きな物語なのだと思います。「アイネクライネ」はそれを象徴する楽曲だといえるでしょう。

米津玄師さんが今後どんな形で作品作りをしていかれるのか、作品はもちろんアーティストご本人ごと楽しみにしていきたいと思います。

なお、米津さんの変化と並行して、一時期猛威をふるったニコニコ動画のボーカロイド界隈のドス暗い流行もいつのまにか鳴りを潜めたように思います。ハチさんが成熟したのと期を同じくして、ニコニコ動画も成熟したということでしょうか。

あるいは単に、両者ともメジャーに近づいたということかもしれません。そういう需要がなくなることはないでしょうから、あるいはニコニコよりさらに潜ったどこかで、何か始まっているのかも知れません。

image by youtube

1
2
このエントリーをはてなブックマークに追加
野球クイズ
お笑いと音楽と漫画と昔話と映画と妖怪が好き。 目と耳が悪い。遠くの人や小声の人が苦手。