プログラム通りに歌う「バーチャルボーカリスト」であるボーカロイドは、おそらく生身の人間には歌いきることができないであろう極端な楽曲も平然と歌うことができます。ニコニコ動画のボカロ曲で歌うのが極端に困難な楽曲には「歌ってみろ」というタグが付けられますが、今回はその筆頭とも言うべき「初音ミクの消失」をピックアップします!

「初音ミクの消失」が、いかに難しい曲かを分析!

「【PV完全版】 初音ミクの消失 -DEAD END- 【MotionGraphics】」より
「【PV完全版】 初音ミクの消失 -DEAD END- 【MotionGraphics】」より

この曲のテンポは「240」で、歌詞に「最高速の別れの歌」とあるように音楽としては極端に速い部類に入ります。このハイスピードなビートに乗せ、ミクは3連符で歌っています。速くてとても歌えない、という難しさの曲ですが、この速さと難しさを数字で説明すると、

  • 240というテンポは1分間に240拍打つ速さで、4拍子の場合1小節が1秒、1拍の長さは0.25秒、3連符の長さは約0.08秒。
  • 240の3連符は1秒間に12連打で、エンディングではこれを32秒にわたって維持する。

ということになります。この歌はプログラムである初音ミク自身の心情を表現したものであり、処理の速いコンピュータの発する言葉という設定です。ですからそもそも人間が歌うことを全く考えていません。それでは動画をチェックしてみましょう。


さんざん「速くて難しい」ということばかりを述べましたが、極端に速い歌を楽しむだけではなく、キャッチーなメロディにせつなくなる歌詞の、ぐっと来る作品ですね。

早口であるがゆえに歌詞の文字数も多く、ひらがなに直す1400字をオーバーします。

バスドラムの連打や終盤のブラストビートなどもちりばめられていることから、作者のcosMo(暴走P)氏はポップセンスがあり、なおハードロック/ヘヴィメタルにも造詣が深い人物のようです。

最近はコナミのアーケード用リズムゲームSOUND VOLTEX」にも楽曲を提供していますね。

「初音ミクの消失」は「歌ってみろ」タグが付けられ、ニコカラにも動画があるほかJOYSOUNDなどカラオケ店で挑戦することができるほか、ピアノ譜ギター弾き語りコード譜など楽譜も作られました。

 「歌ってみろ」を「歌ってみた」数々の猛者たち

「初音ミクの消失-DEAD END-を歌ってみた@弟の姉」より
「初音ミクの消失-DEAD END-を歌ってみた@弟の姉」より

とても歌えないと思われるこの曲ですが、人間は負けていませんでした。多くの歌い手がこの曲に挑み、見事「歌ってみた」動画をアップしていったのです。それでは人間卒業を果たしたと賞される歌い手たちの動画を見てみましょう。

【ニコニコ動画】初音ミクの消失-DEAD END-を歌ってみた@弟の姉



 

【ニコニコ動画】汗だくで『初音ミクの消失』を歌ってみ…喋ってみました

【ニコニコ動画】『初音ミクの消失(LONG VERSION)』を歌わせて頂きました。【灯油】



圧倒的な歌唱力を称賛しつつ、「なぜ歌えた?」って思ってしまいますね。「本当に歌えていた」という目撃証言もありますが、この曲を人間がライブで歌いきった動画はいまだありません。

最初にご紹介した歌を歌っている「弟の姉」さんについてはドーラの記事でもご紹介しています。

深刻なエラーによる社会現象へ

「初音ミクオリジナル曲「初音ミクの消失-劇場版-(from 太鼓の達人)」」より
「初音ミクオリジナル曲「初音ミクの消失-劇場版-(from 太鼓の達人)」」より

 

 

 

 

 

 

 

など、「初音ミクの消失」から派生した作品もリリースされています。

シンプルながら、魅力的な「スピード」

楽曲のテンポや素早い指の動き、コンピュータの処理速度、フォーミュラカーの疾走など、「速さ」は多くの人が魅力に感じるポイントの一つです。

速いとかっこいい。その中に超絶な速い歌という新しいジャンルが生まれました。

その先駆者「初音ミクの消失」は、処理の速いコンピュータ自身の言葉として速さに必然性を付加しており、音楽表現として見事がとしか言いようがありません。多くのボカロPが「その手があったか」と悔しがったことでしょう。

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小林健悟
「エレキギター博士」「アコースティックギター博士」で記事を書いています。愛知岐阜でギター教室もやっておりますので、興味のある方はぜひどうぞ☆