
ボーカロイドとは?
「ボーカロイド」とは、いってしまえばただの楽器(シンセサイザー)です。
これまで音楽制作において、さまざまな楽器が人力から機械へと置きかえられてきました。ほとんどの楽器は機械でそれっぽく再現することが出来たのですが、「歌」だけはなかなかそうもいきませんでした。
DTM(デスクトップミュージック)と呼ばれる、パソコン一つで音楽を作る作業自体は昔から行われていました。しかし歌が入った曲を作るためには、自分で歌うか、苦手な人は歌手を雇う必要があります。歌手を雇うというのは、人脈を持つプロならともかく、趣味で音楽制作をするアマチュアにとっては難しいことです。
そこへ、『ボーカロイド』という高性能な人工音声がヤマハ株式会社から開発・発売されます。全国で音楽制作を趣味としていたクリエイターたちが飛び付き、こぞってボーカロイドを用いた楽曲を制作しました。そしてインターネットへ発表していきます。
架空の歌手として人気に!

こうしてクリエイターたちが数々の楽曲をインターネットにアップロードするようになったのですが、そんな中『ニコニコ動画』で『初音ミク』の人気が爆発することになります。
それも“楽器”あるいは“機械”としてではなく、架空の歌手としてです。
例えば『初音ミク』に歌詞を歌わせるにあたって、歌声を人間らしく調節する行為が(品のないいい方ではありますが)「調教」というスラングで表現されます。
『初音ミク』のイメージに合わない楽曲で使用されている場合には、「仕事を選べないミク」のようなタグがつけられたりもしています。
もちろん冗談半分にではあるのですが、このように、『初音ミク』というのはまるで人格をもったアイドル歌手のように受容されていき、大人気となりました。
やがて『初音ミク』に先行するボーカロイドであった『MEIKO』や『KAITO』も注目を浴び、『鏡音リン・レン』『GUMI』のような後発のソフトウェアもヒットして、「ボーカロイド」という人気ジャンルが生まれることになります。