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今や“ゾンビ映画”は、ひとつの人気ジャンルとして確立しています。しかも、毎年、いや毎月、何かしらゾンビ作品がリリースされ続け、ゾンビさながらに増殖を続けているのです。今回は、そんな群れを成したゾンビ作品の中から、傑作ゾンビ映画をピックアップしました。

すべての“ゾンビ”はここから始まった……

元祖ゾンビ映画『恐怖城(原題:White Zombie)』(1932)
元祖ゾンビ映画『恐怖城(原題:White Zombie)』(1932)

タイトルに「Zombie」が入った元祖ゾンビ映画は、1932年のアメリカ映画『恐怖城(原題:White Zombie)』でした。初期のゾンビ映画のゾンビは、ブードゥー教の呪術で死者を蘇らせだけの存在でしかありませんでした。

しかし、1968年、ホラー映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が、ゾンビの在り様を大きく変えたのです。

「生きた人間の肉を喰らう」「ゾンビにかまれた者もゾンビになる」「死んでいるため、動きは緩慢」「脳を破壊するまで何度も生き返る」といった、現代の一般的なゾンビのイメージは、ここから始まったのです。ゾンビ映画の記念碑的作品となった同作は、カルト・クラシックとしてニューヨーク近代美術館に所蔵されるに至りました。

さらにロメロ監督は、1978年の『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)』で、ゾンビが蔓延した絶望的な世界で生き延びようとする人間の姿を生々しく描き出しました。ゾンビ映画人気に火を点けた作品となり、30年以上経った今でも、たびたび同ジャンルの最高傑作と称されています。

めっちゃ速い!進化するゾンビ

ゾンビ映画の傑作としてよく挙げられる『死霊のはらわた』(81)
ゾンビ映画の傑作としてよく挙げられる『死霊のはらわた』(81)

ロメロ監督作『ゾンビ』の成功以来、ゾンビものはどんどん作られるようになり、サンゲリア』(79)、『死霊のはらわた』(81)、『バタリアン』(85)などのヒット作が次々と生まれました

しかし、ゾンビの定義にのっとった展開はパターン化してしまい、目新しさが薄れてゾンビ映画の低迷期が訪れます。

ゾンビの歩みのような停滞期を打開したのは、ダニー・ボイル監督の『28日後…』(2002)。

「ゾンビは動くのが遅いから、その隙に……」という戦略は通用しなくなりました。とにかくゾンビが速い!これは、“走るゾンビ”が登場し、さらなる恐怖に追い討ちをかけたメジャー作品として、ゾンビ映画史に足跡を残しました。

『ゾンビ』のリメイク作品『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)のゾンビも走って襲ってきますし、『28日後…』の続編『28週後…』(07)のゾンビはまさに全速力。ワールド・ウォーZ』(13)ともなると、ゾンビはさらにレベルアップし、最速、最強、最多数。しかも、感染までわずか12秒という最恐っぷり。その凄まじい世界観は、圧倒的です!

実はゾンビより人間の方が残酷?

あふれんばかりのゾンビが押し寄せ、人類が絶滅の危機に陥る絶望ソンビ映画『ワールド・ウォーZ』(2013)
あふれんばかりのゾンビが押し寄せ、人類が絶滅の危機に陥る絶望ソンビ映画『ワールド・ウォーZ』(2013)

ゾンビ映画の基本は、ゾンビvs人間という構図。しかし、“本当はタチが悪いのはゾンビより人間の方”と言わんばかりに、ゾンビ世界でのサバイバルを背景にしつつも、そこで生まれる人間ドラマを魅せる秀作も数多く存在しています。

『28日後…』『28週後…』はもとより、『ワールド・ウォーZ』でも、ゾンビだらけの世界で絶望の淵に追いやられながらも、いかに希望を見出すか、人間の力が試されていきます。

非常にリアルで恐ろしいゾンビはあくまで脇役とし、“極限状態に置かれた人間の本性”を描き出して大ヒットとなったテレビドラマは、『ウォーキング・デッド』。

2010年に第1シーズンが作られ、『ショーシャンクの空に』の名匠フランク・ダラボン監督が手がけたことでも話題に。現在は第6シーズンまで作られています。

人間ドラマ重視の流れは、最近のゾンビものに多いのかと思いきや、ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』も、単なるゾンビパニックで終わらず、ゾンビという異形が存在することで、人間の真の姿が浮き彫りにされていました。

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雨宮 輝
ライター/ ディレクター/編集者 不動産、金融、ファッション、デザイン、美容、芸能、経営コンサルティングなどあらゆる業界を経て、ライティングの世界へ興味を持つ。現在は、書籍、雑誌、WEBなどであらゆるジャンルの記事を担当するライターおよびディレクターとして活躍中。映画やドラマをこよなく愛する。 個人サイト http://shimipandaw.wix.com/akira