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先月は「希望が生まれる場所」みたいに、わりとカタめの記事が多かったので、今月はやわらかいことを書いてみたいと思います。
美女の下半身の事情にまつわることです。

とは言っても、たくさんの美女に取材をさせていただいても、下半身の事情を赤裸々に教えてくれた美女はさほど多くないので、今回は『あたしのセックス白書』(マガジンハウス・2000年)の a little helpを借りて書いてみたいと思います。『あたしの~』は、雑誌『egg』や、菅野美穂さんの写真集『NUDITY』などを制作した名編集者・米原康正さんが手がけたムック本です。ふつうの女子が語っている「あたしのセックス事情」が、なんと101人分掲載されています。

合コンで「お持ち帰りできる美女」とは?

男子たちが、虎視眈々と「お持ち帰り」できる美女を探している場所。あるいは、紳士っぽいふりをしつつも、はやる気持ちを抑えきれず、それが目つきに出てしまっている場所。
たとえば合コン。あるいは飲み会。

合コンでお持ち帰りできる美女に出会おうと思えば、言うまでもなく、まず、持ち帰られてもOKな女子を探さなくてはならない。持ち帰った当日にうれしいことになるのか、持ち帰った翌週にそうなるのかは、まあいろんなケースがあるはずですが、とにかく、持ち帰られてもOKと思っている美女に出会わないと、そもそも話が始まらない

一見してどんな美女が「あたしお持ち帰りされてもOK」と思っているのか?
それは著者にもわからない。
胸のところにOKマークを貼ってくれてりゃあいいのに。

ただ、いろんな美女の話を総合的に捉えると「相手の男子がどこまで踏み込んだ話をしてくるか」がわかったとき、ふたりの会話は深くなり、男子はアクセルを踏み、女子は持ち帰られてOKと思う……なんとなくこういうことが言えるように思います。

「あたし持ち帰られてもいいかな」の裏側の気持ち

これもよく言われていることですが、一般的に、女子は男子の下ネタ談義があまり好きではないとされています。

ただし、これも、いろんな女子の話や『あたしの~』に掲載の情報を総合的に捉えてみると、さほどタイプでもない男子に、アダルトなビデオばりにPOPで軽い下ネタ談義を披露されるから、女子ドン引きということになる。
つまり、男子は美女の性生活の切実な悩みをうまく拾う方向に下ネタ談義を持っていかないから「下ネタ男子は嫌い」となる(ように感じます)。

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美女の切実な悩み

言うまでもなく、性欲はひとの三大欲求なので、美味しいものを食べたいとか、眠りたいという気持ちと同列にあります。
美味しいものを食べたくても、最近、金欠だから……とか、眠りたいのに仕事が忙しくて3時間睡眠で……というのと、おなじレベルに「最近、したいのに相手がいない」という美女の悩みがある。とくに、そういうことが好きなのに、旦那とレスだとか、バツイチ子持ちでそういう行為の相手がいないという美女の場合、その方面の悩みは、いきおい切実なものになる。空腹で3日間もさまよい歩いている……もう限界……みたいなハチキレ感のある乾き。

みんな「相手が心を開くのを待っている」という事実

紳士的に劣情を表現する……この矛盾しているような行為がうまくできないと、美女とは付き合えない。
だれもが持つ「性的さ」の裏側の切実な悩みに真摯に向き合えないと、美女とは付き合えない。
そういうことが言えると思います。

それはもちろんトークのテクニックであったりもします。
男子全員が明石家さんまさんのように流麗なトークを披露することができたら、美女たちは、ホイホイと下半身の切実な事情を口にすることができ、それが精神的な助けになれば、この世はご機嫌な美女で溢れかえる。

裏を返せば、美女たちは、切実な事情で硬く閉ざされている心を開ける相手を待っている。男子が心を開いてくれるのを待っている。
だから、美女をして言わしめれば「女子が苦手な下ネタ談義」と「女子ウケする下ネタ談義」がある。
当然、女子ウケする下ネタ談義ができれば、合コンでお持ち帰り……という可能性が高くなる。

美女の心のなかとは?

心を開くという表現は抽象的なので、付言するなら、たとえば以下の動画に「美女が男子にこじ開けてほしい心」が表現されています。去年(2014年)の11月にリリースされた、aikoさんのシングルで、フジテレビ系のドラマ『素敵な選TAXI』の主題歌にもなっている「あたしの向こう」。

フラれそうな彼女が、(元)彼に対して「テレビドラマみたいに、過去のことをちゃんとあなたに話したいんだけど、なんかそれができないんだよね~」と歌っています。
過去のこととは、過去の恋愛のことでもあり、性生活のことでもある。彼はすでに聞く耳がないから、歌うしかなく歌っているわけですが、歌うしかないその切実な気持ち、合コンや飲み会で、男であるあなたが、開いてあげるといい。聞いてあげつつ、じぶんが「どこまでエッチなのか」を相手に伝えるといい。美女にそれが伝われば、美女はより多くを歌いだします。お持ち帰りが確定されそうな瞬間です。

ただの下ネタ談義。けだしそこに「ひとの切実な悩み」が隠されていることが多い
こういうことを漫画家であり、小説家、エッセイスト、女優でもある内田春菊さんは過去に「そのひとの本心を聞こうと思えば、下半身の事情を聞くといい」と言いました。美女がかかえる切実な気持ち……ハチキレ感のある心……こういうものに真摯に向かう敏感なハートがないと、美女とは付き合えないのではないかということです。もっと言えば、美女は男女関係に不自由してなさそうでええなあと思っていたのでは、お持ち帰りなんて夢のまた夢だと言えます。

image by gatag.net , gatag.net

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ひとみしょう
作詞家・コピーライター・広告プランナーを経て、専業文筆家に。小学館 『Menjoy!』 での連載を経て、『ANGIE』初代編集長に就任(14年7月まで)。コラムの受賞歴多数。現在、連載9本を抱える。