ドリフターズ(1) (ヤングキングコミックス)

「信長と義経、戦争をしたらどっちが勝つ?」
「戦国の武士と幕末の志士、どっちが強いの?」
「安倍晴明とラスプーチン、どっちの方が凄い魔法使いなの?」
少しでも歴史に興味があれば、誰しもこんな疑問をふと抱くものではないだろうか。
今年三月にアニメ制作が発表された、平野耕太先生による漫画『ドリフターズ』はそんな夢の対決が実現しまくる漫画作品。この作品の魅力を紹介したい。

『ドリフターズ』は雑誌『ヤングキングアワーズ』で2009年より連載中の漫画。現在4巻まで発売されている。
ストーリーは『戦国時代、関ヶ原の合戦に西軍として参戦するも敗走し、その途中、気を失う島津豊久。目が覚めると、そこはエルフやドワーフがいるファンタジー世界だった。
そこで織田信長、那須与一と出会い、『廃棄物(エンズ)』と呼ばれる勢力に対して戦争をしかける
』というもの。

魅力的な世界設定『漂流者(ドリフターズ)』と『廃棄物(エンズ)』

ドリフターズ(2) (ヤングキングコミックス)

まず世界設定が非常に面白い

この世界には、我々の歴史上の人物の中で、その死の詳細がわからない人物たちである、『漂流者(ドリフターズ)』がよく漂着するようだ。
作中では、戦国時代の島津豊久、同じく戦国時代から織田信長、源平合戦の那須与一、古代ローマからハンニバルなどが登場している。中世以前の人物だけでなく、菅野直(かんのなおし)山口多聞という、失踪した大日本帝国の軍人まで搭乗機・艦ごと登場している。

歴史上、彼らはその死によってその後の行方が分からなくなったとされるが、この漫画では、実は死んだのではなく、別世界でその後も活躍をしていたという設定だ。これだけでもわくわくする世界観。

五稜郭で奮戦する土方歳三と榎本武揚。歴史上、土方はここで戦死する。
五稜郭で奮戦する土方歳三と榎本武揚。歴史上、土方はここで戦死する。

対抗勢力として存在するのが『廃棄物(エンズ)』
非業の死を遂げた歴史上の人物は、実はこの世界で異能を得て復活していたという設定。

新政府樹立を目論むも、函館戦争にて新政府軍に敗れて死んだ土方歳三は、新撰組隊士の幻影を生み出す。
百年戦争でフランスに勝利をもたらしたにも関わらず、異端審問で火刑に処されたジャンヌ・ダルクは、炎を操る異能を持つ。
他にも、帝政ロシア皇女アナスタシアや怪僧ラスプーチンなどが『廃棄物(エンズ)』に名を連ねている。

彼らの戦闘では、その異能のために近年の漫画やライトノベルでよく見られるような、超常的な力を持つものが闘う「能力者バトル」の楽しみもある。

非業の死を遂げたジャンヌダルクだが、その後異世界へ!
非業の死を遂げたジャンヌダルクだが、その後異世界へ!

源義経も登場するのだが、彼は『廃棄物(エンズ)』に接近しつつも、どちらの勢力なのかは現状不明。

史実の義経の最期は行方不明となっており(その為、モンゴルにわたってチンギス・ハンになった、という伝説がある)、『漂流者(ドリフターズ)』として作中世界に現れたようにも思われる一方、多くの戦功を挙げながら兄に追われた末路は『廃棄物(エンズ)』にもふさわしい。

五条大橋で弁慶とやりあう源義経。このころは、兄に裏切られるとは思っていなかっただろう。
五条大橋で弁慶とやりあう源義経。このころは、兄に裏切られるとは思っていなかっただろう。

お楽しみ要素が盛りだくさん

ドリフターズ(3) (ヤングキングコミックス)

そんな彼らが呼びこまれた世界が、『指輪物語』以来お馴染の、ドラクエ風中世ヨーロッパ的ファンタジーなのだ。
エルフやドワーフ、ゴブリンやドラゴンが生息し、剣と魔法で戦う世界だ。そこへ、戦国武将や帝国軍人が乱入していく。

つまりこういうことだ。
信長や義経が登場する戦記ものとしても読めるし、ドラゴンと戦うファンタジーでもあり、「他者を操る能力者」なんかと戦う能力バトルを楽しむこともでき、とくにバトル面は剣でのバトル、銃でのバトル、魔法でのバトル、戦闘機でのバトルとなんでもござれだ。こんなにお楽しみ盛りだくさんの漫画がかつてあっただろうか。

現在4巻まで刊行されているが、最も続きが楽しみな作品である。面白そう、と思っていただけたなら、一読をおすすめしたい。

いかにもファンタジー! ドラゴンも登場する!
いかにもファンタジー! ドラゴンも登場する!

なお、歴史上の人物が一堂に会して夢の共演! というのは色々な人がする妄想のようで、『ドリフターズ』だけではない。
古今様々にあるようだが、面白いと思った例を紹介したい。

<次のページ:谷亮子とチンギス・ハンが闘う? 『ワールドヒーローズ』>

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お笑いと音楽と漫画と昔話と映画と妖怪が好き。 目と耳が悪い。遠くの人や小声の人が苦手。