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アメリカン・ハッスルが描く男女あるあるとは?

実際に起きた政治家の汚職事件をネタに、詐欺師たちの華麗なる技を描いた「アメリカン・ハッスル」。息も止まらぬ速さで展開する駆け引きに知恵比べ……、とこうしたサスペンスタッチの映画は、もしかすると男性の方に好まれるのかもしれません。

しかし「アメリカン・ハッスル」は、ありふれたサスペンスとはちょっと違うんです。男性より、むしろ女性であった方がふかーく共感できるかも。さて、そのわけとは一体?

実話から生まれた壮大なホラ話

アメリカン・ハッスルは、ニューヨーク批評家協会賞で作品賞と脚本賞を受賞、さらにゴールデン・グローブ賞でも作品賞に輝いた、2013年の超話題作です。

クリスチャン・ベイル演じるアーヴィンと、エイミー・アダムス演じる愛人シドニーは、息もぴったりの詐欺の名コンビ上昇志向にかられたFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されたことから、おとり捜査に協力させられます。しかしその中身は、手柄ほしさのリッチーが、善人の市長(ジェレミー・レナー)を強引に陥れ、汚職事件を起こさせようというものでした。

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はげを隠すため、ヘアセットに1時間もかかるアーヴィン。本妻への嫉妬からリッチーとこれ見よがしに仲良くしてみせるシドニー。野心に燃え、どんどんクレイジーになってくるリッチー。さらに、うつ病で神経症でああ言えばこう言うのが得意な本妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)を交えて、入り乱れる男女の思惑と恋の行方が面白可笑しく描かれます。

女性が納得する恋愛模様

美女に挟まれて三角関係に悩むアーヴィンは、「体はブヨブヨで」「髪は痛々しい一九分け」というキャラクター。

たしかにブヨブヨだけど……。
たしかにブヨブヨだけど……。

しかし、シドニーは、そんな彼を「自信タップリでステキ」と愛してしまいます。一方のリッチーは、引き締まった体に整った顔立ちをしているのですが、落ち着きや知性に欠け、アーヴィンへの当てつけに仲良くしていたシドニーも、最後にはドン引きしてしまうように。

シドニーの鉄壁の表情の奥にある、本当の気持ちとは。
シドニーの鉄壁の表情の奥にある、本当の気持ちとは。

女性なら一度は、ルックスの良い男性に惹かれたものの、後で本当の性格を知って、あまりの落差にうんざりしてしまったという経験があるのではないでしょうか? どっしりと構えているアーヴィンは、詐欺師としても男としてもプロフェッショナル。恋に苦しむシドニーの表情に、きっと多くの女性が共感を覚えることでしょう。

夫婦間にありがちなテーマも

一方、アーヴィンとロザリンの関係についても、夫婦あるあるな会話になっていて、とても笑えます。

ロザリン演じるジェニファー・ローレンスは助演女優賞に輝いた。
ロザリン演じるジェニファー・ローレンスは助演女優賞に輝いた。

泣く、喚く、と女の武器を披露しながら、反論する隙を与えずにまくしたてるロザリンの「口撃」技は、天才詐欺師もたじたじになるほど見事。

論のすり替えも得意で、いつの間にか「あれ?何の話だったっけ?」とけむに巻かれてしまい、最後はなぜか「ごめんね」と悪くもないのに自分の方が謝ってしまうという悲しさ。アーヴィン、ロザリン、どちらの立場に立ってみても「分かる~」と納得させられてしまうのは、それだけ人間の心のひだを見つめ、細やかに拾い上げているからではないでしょうか。

コメディらしく誇張された行動なのに、人間の悲喜劇がリアルな「アメリカン・ハッスル」。男性も女性もたっぷり楽しませてくれる、ステキな映画です。

公式サイトはこちら:American Hustle

Image by写真AC,youtube

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内野チエ
ライター。 Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。高校の3年間で1000本以上の映画を鑑賞、ときには原作と比較しながら楽しむ無類の映画好き。