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その昔、もうかれこれ20年くらい前、渡辺美里さんの「死んでるみたいに生きたくない」という歌がはやっていました。

なぜそんな古い歌を持ち出してくるのかといえば、知っていることだけを元に仕事をしたいという若いひとが多いと最近感じるから。「これ、私たちの世代は知らないんですけど」。 こういう言葉を、若いひとから、最近立て続けに聞いたわけです。
この言葉の裏には「知らないことは、べつにどうでもいい」という、聞いていて惚れ惚れするくらいの傲慢さがあるわけですが「あたしが知らないことはお客さんも知らないこと。であるならば、知らないことを紹介してもしかたない」くらいのことを平気で考えているのでしょう。

それはさておき、とにかく、中学生や高校生が「死んでるみたいに生きたくない」と思っていた時代が、過去にたしかにあり、それを渡辺さんが代弁しているかのような曲です。ご興味があるかたは、歌のタイトルでググっていただければと思います。

「死んでるように生きる」とはどういうことなのか

中高生くらいだと、むやみに直感的にオトナに反骨精神を燃やすもので、オトナになるにしたがって、この曲から遠ざかっていた同世代のひとはきっと多い。でも、オトナになって、たとえば海外旅行に行くと、「死んでるように生きる」とはどういうことなのかがよくわかります。

「死んでるように生きる」の反対語があるとすれば、それは「生きている」ということでしょう。絵的に伝えるならば、たとえば以下の動画に出てくるひとたちは「生きている」。

『ソウル・サーファー』(Soul Surfer)という2011年のアメリカのドラマ映画の一部です。
13歳のときに鮫に襲われて片腕を失いながらも、サーファーを目指したベサニー・ハミルトンの実話を描いています。

日本の社会は、片腕のない少女のように生きるしかない。

欧米と日本を比較して、識者がよく言うのは、もうオトナならよく知っているとおり、日本の社会は派閥があり、そこに好かれないと生きづらい。ムラ社会の「ひとの感情」が(いわゆる世間が)ひとの言動を制限する

そういうことを世界の識者はよく知っているようで、だから日本のメディアの表現の自由度は、世界ランクのずっと下のほう。だから片腕のない少女のように「生きる」ことを決意しないと、わりと死んでるように生きるしかなくなってくる。 こういうことが言えるのではないかと思います。

就職活動中に希望の企業の部長さんがキャバクラに来た!

翻って、恋愛を見たとき、恋愛がうまい女子は、生きていることが多い。
いろんな女子に取材をさせていただきましたが、みんな「よく生きている」。よく死ななかったなあとこっちが感心するくらい生きている。とくに大学時代からWワークをして、いい企業に就職している女子なんか、就職活動中に希望の企業の部長さんがキャバクラに来て、「ニアミス状態だった」という話も聞きます。

男は、あるていどの年齢になると、どこかしら反骨精神がなくなっていく傾向がある。
それに対し、モテている女子というか、恋愛がうまい女子は、何歳になっても「死んでるみたいに生きたくない」と思っている節がある。だから、睡眠時間を削って、Wワークをして、28歳までに500万円を貯めて、いきなり会社を辞めて、3ヶ月くらい海外で暮らすというようなことができる。

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このへんのことを、男子はよくよく考えたほうがいいのだろうと自戒を込めて思います。

死んでるように生きていない女子は、野生の勘が鋭いから、まあまあの美人でも(失礼!)美しく見える。だって「生きている」わけだから、美しく見える美人で野生の勘が鋭い女子は、すごく美人に見える。もう男にすれば高嶺の花みたいに感じる。
したたかに計算しつつ「誰が死んでるように生きるっちゅうねん」と、心の奥底で反骨精神を静かに燃やしつつ、誰と恋をするか、しっかりと観察している。

少なくとも、死んでるように生きている男と恋愛をするのはごめんだと。

外国のイケメンさんLOVE!

そういう女子のなかで、日本男児の多くは死んでるようにしか生きてないなと思ったひとが、外国のイケメンさんLOVEと思うのでしょうか。

海外のライターさんとやりとりをしていると、彼女たちはまず美人だし、恋愛に積極的であることが多いと感じます。
年金がもらえるのかどうなのか、微妙な世の中で、しかも多くのひとが大学に進学するようになると、大卒という肩書きの価値が下がり、サラリーマンという職業がマイナーなものになり、手に職という職人的な生き方が、次の時代を支えるのではないか、と言っている識者もいます

一部では、もうすでにそうなっているようにも感じます。
そういう時代にあっては、「死んでるように生きる」ことは、すなわち死を意味します。職人さんって「今日やったことがすべて」であり、死んでいる場合ではないからです。

生きる。このたった3文字に込められている意味を身をもって知らないと、男子は高嶺の花的な美女と付き合えないのではないかと思います。
それはきっと、子どもを産む性のほうが、真に「生きる」ことに敏感だということなのでしょう。

image by  ManNg (改変 gatag.net) , acworks

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ひとみしょう
作詞家・コピーライター・広告プランナーを経て、専業文筆家に。小学館 『Menjoy!』 での連載を経て、『ANGIE』初代編集長に就任(14年7月まで)。コラムの受賞歴多数。現在、連載9本を抱える。