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「あったかいんだからぁ」PVより
お笑い芸人クマムシの「あったかいんだからぁ♪」(作詞作曲:クマムシ。実際には長谷川による)が大流行している。
あまりの人気から2月にはCDが発売。オリコンチャートで10位を記録するヒットとなった。なぜお笑い芸人が作った曲がこんなに支持され、愛されているのだろうか。様々な要因があるだろうが、ここではメロディに着目して、その秘密を探りたい。

「あったかいんだからぁ♪」のメロディの秘密


もとは漫才のネタながら、CDとしてリリースされ大ヒットした「あったかいんだからぁ♪」。なぜこんなにも大流行したのか?
結論からいって、「思春期の少女っぽさ」を、これでもかというくらい、「メロディで」見事に演出している、ということが言えるだろう。以下、部分ごとに見ていこう。

ちょっとずつ登っていくことで切なさを演出

まずは前半部分。「スープ」「あなたに」「あげる」の部分で、メロディが上から下へ下がっている。この下がるメロディは、上がるメロディやまっすぐなメロディに比べて弱気だったり優しい印象を与えがちだ。「か弱い少女っぽさ」がこの曲のメインの印象だとしたら、この下がるメロディによるものだろう。

クマムシ長谷川さん
クマムシ長谷川さん

しかし、単に弱気に下がるだけではない。
「スープ」の“ス”、「あなたに」の“な”、「あげる」の“あ”の三か所が音程の高い部分になるのだが、この三音は「ミ」の音でキープされている。
ところが、低い音「スープ」の“プ”、「あなたに」の“あ”、「あげる」の“る”の低い三音は、「ソ」「ソ♯」「ラ」と、少しずつ(半音ずつ)上がっていくのだ。

この「下がりつつもよじ登るように這い上がる感じ」が、切なさを産んでいる。「ミ」の高さに押さえつけられて、それでもちょっとずつちょっとずつ「ソ」「ソ♯」「ラ」と上がってきたよ……というところで「あったかいんだからぁ」と決めのフレーズ。決めと同時に、これまで最も高かった「ミ」よりもさらに高い「ラ」に到達している。

やっとここまで登ってきた!」ということに加えて、この解放感に加えて、裏声での「頑張ってる必死な感じ」がより切ない感覚を醸し出す。
さらに、この曲の調での「ソ♯」は非常に不安定に響く。「ソ」から「ソ♯」に移動したとき、「本当に登れるのか?」と不安にさせるような音選びで、上手い。

なお、この弱気がウケるのか、ヒットソングには上がるメロディよりは、下がるメロディの方がやや多い印象がある。
サザンオールスターズ「TSUNAMI」(作詞作曲:桑田佳祐)などが、どんどん下がっていくメロディを持つヒットソングの代表例だろう。

クマムシ佐藤さん
クマムシ佐藤さん

補足だが、対して、上がっていくメロディは篠原涼子 with t.komuro『恋しさと せつなさと 心強さと』(作詞作曲t.komuro)の上昇していく“恋しさと せつなさと”の部分やMISIA『Everything』(作詞:Misia 作曲:松本俊明)のサビのように、強気だったり希望を抱いているような印象を与える。

<次のページ:音符の緩急で「打ち明け感」を演出>

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お笑いと音楽と漫画と昔話と映画と妖怪が好き。 目と耳が悪い。遠くの人や小声の人が苦手。