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特殊空間で極限状態に置かれた登場人物たちがサバイバルバトルを勝ち抜いていくデストピア映画というと、我々が住むとは遠い、非現実的でSFチックな世界観というのがお決まりだ。
だが、そこには極論の中にかいま見られる鋭い現実性が必ず埋め込まれ、見る人々に痛々しいほどに答えを求めに来る。だからこそこの種の映画は古くから繰り返し作られその時代ごとの独特な光を放ってきたといえるだろう。

そんなデストピアな時間と空間を、2010年代のティーンズカルチャーをベースに構築してみるとこんな感じになるかもしれない、そんな思いを抱かせてくれるのが7月25日(土)、全国ロードショーの映画『脳漿炸裂ガール』だ。

ドーラでは、この映画『脳漿炸裂ガール』を前・後編に分けて大特集!全国公開に先駆け、一足お先に本編を鑑賞してきました!
前編の今回は、気になる映画の内容を詳しくご紹介していきます。

物語のカギはスマホと友情、そしてマカロン

いたって普通の女子高生、《市位ハナ》は念願かなって超お嬢様学校のアルテミス女学院に入学したが、常識を超越したクラスメイトたちのゴージャスな雰囲気に飲み込まれて教室の片隅で1人浮いた存在となっていた。そんな中、《ハナ》はクラスメイトのもう一人の“はな”、成績優秀・容姿端麗な《稲沢はな》からマカロンをプレゼントされ、意気投合。

あこがれの《はな》に近づけて嬉しい《ハナ》だったが、下校際、携帯電話を置き忘れて校舎へ取りに戻った時、誰もいない教室の外から女生徒の悲鳴を耳にする。声を追いかけていった《ハナ》はそこで、女生徒が銃撃されている衝撃的な現場を見てしまう。
とっさにその場から逃げ出そうとした《ハナ》だが、銃を持った男たちにあえなく捕まり、気が付くと窮屈な檻の中だった。

檻に囚われたのは《ハナ》だけではなかったが、他は皆、白タイを胸につけることが許された成績優秀かつ超お嬢様な生徒たち。その中には《はな》もいた。
すると、担任教師・田篠が教育実習生の2人を引き連れて帽子にマント姿で登場。彼女たちに携帯アプリを使った「黄金卵の就職活動(ジョブハンティングゲーム)」という謎解きゲームへの参加を強制される。

ところが、《はな》は携帯電話を持っていなかった。
すぐさま銃をつきつけられた《はな》を見かねた《ハナ》は、常に2台持ちしていたスマホとガラケーのうちの1台を《はな》に差し出す。
こうして《ハナ》と《はな》、一蓮托生のサバイバルバトルが幕を開けた。

次から次へと立ちはだかる難問。校外への脱出を試みれば即ゲームオーバー。
次々と脱落し“脳漿炸裂”して倒れていく少女たち。裏切り、他人の利用、暴露。極限のなかで彼女たちは本性をむき出しにし、競争相手を蹴落とすことも辞さずゲームを続けていく。
そして不可解な状況に疑問を持ちながらも、《はな》の機転を頼りにゲームをクリアしていく《ハナ》。彼女たちの様子を不敵に見つめる担任の田篠。ゲームという名の物語が進むにつれ、登場人物たちの心理は複雑さを増していく。



「私たちは一蓮托生でしょ?一緒に脱出しよう」。
やっと仲良くなれる友達を得た《ハナ》はハッピーエンドを信じてゲームに挑んでいくが、その先には辛い現実が待ち構えていた。

はたして《ハナ》が最後に下す答えとは?

超人気ボカロ楽曲を映画化

原案は、音楽プロデューサー・れるりり氏によるニコニコ動画で関連動画再生回数4000万回以上を記録し、「ネ申曲」とまで讃えられたボーカロイド楽曲。
「歌ってみた」「弾いてみた」「踊ってみた」「みなぎってみた」等の関連動画が続々登場し、2012年最大のボカロヒット曲となった『脳漿炸裂ガール』は現在、小説、コミカライズ、そして映画とボカロ曲の枠組みを超えたメディアミックスを展開中だ。
本映画は、累計45万部のベストセラーを更新中の小説版第1・2巻に基づきながらその世界観を再構築。小説版を手掛けた人気作家・吉田恵里香氏自らが映画の脚本も担当した“ボカロ史上初”の実写映画作品となっている。

一度聴いたら頭から離れない軽快なメロディラインに、『無限苦言』『挫傷暗礁』『吐瀉物噴出』といった一見難しそうな熟語が意味もなく羅列されたかと思えば、『スタバでキャラメル濃いやつ頼んでドヤ顔したがる東京バイアス』『小悪魔メイクで触覚生やして』などなど痛烈な皮肉りが連続する。
放課後のカフェでマカロンをついばみながら吐き出しているイマドキの日常女子高生用語が、電子の歌姫の声を通して機関銃のように、いやスマホのタッチパネルをスラスラとフリックしていくように音声化されていく。
そんな、オトナなんかには一欠けらも理解しようがない、“アタシたちの世界”を的確にとらえた、まさに脳漿炸裂的な楽曲の世界観を映像へ変換しようと試みたのが本作だ。

鑑賞後にマカロンが食べたくなる一作

銃撃戦も交えたシリアスなシーンの連続の内容だが、深夜アニメやライトノベルに通じる軽いノリの雰囲気もところどころに散りばめられており、嫌なドギツさというのが排除され、終わってみれば痛快なエンタテイメント作品を味わった感覚にさせてくれる。
それは多分、“マカロン効果”と呼べるものかもしれない。

また、原曲プロデューサーであるれるりり氏が映画にカメオ出演、劇中の『狂ったように踊る』シーンは大人気の踊り手めろちん氏が振り付けを担当、予告編では「初音ミク」の声優である藤田咲さんのナレーションが挿入されるなど、ニコニコ・ボカロファンにはたまらないサービスが各所に施されていることもポイントが高い。
ニコニコ生放送では、7月13日(月)に”完成披露上映会”の舞台挨拶まるごと生中継、7月25日(土)には映画本編の世界最速オンライン上映会も予定されている。
主演は大人気アイドルユニット・私立恵比寿中学の柏木ひなたと「ホットロード」「暗殺教室」と話題作への出演が続く竹富聖花。
殺伐とした世界観のなかで、健気にもがき苦しむ等身大の女子高生を体当たりで演じている。特に、あることをきっかけにガラリと表情を変える二人の演技力は注目だ。

さらに、第7回東宝シンデレラ・グランプリの上白石萌歌、 2012年ミスセブンティーン グランプリの岡崎紗絵、「仮面ライダー鎧武/ガイム」でヒロインを務めた志田友美(夢みるアドレセンス)、D-BOYSメンバーで映画「ガチバン」シリーズの荒井敦史、「テラスハウス」のレギュラーとして大ブレイクした菅谷哲也、そして「マッサン」で大注目の若手実力派・浅香航大、という豪華なキャスティングが脇を固める。

彼女達が、原曲に刻まれている『量産アイドル一蓮托生』という皮肉たっぷりの歌詞にどう答えを出しているのか、ぜひしっかり受け止めてほしい。
そこにもきっと、イマドキ女子高生の本当のメッセージが隠れているはずなのだから。

後編は、映画『脳漿炸裂ガール』プロデューサーへインタビュー!制作の裏側を、ここでしか読めない情報満載でお届けします。

映画『脳漿炸裂ガール』
7月25日(土)全国ロードショー公式サイト:www.noushou.jp
公式Facebook:www.facebook.com/noushou3902
公式Twitter:https://twitter.com/noushou3902
ニコニコ生放送番組ページ:http://live.nicovideo.jp/watch/lv218412835
ニコニコ公式チャンネル:http://ch.nicovideo.jp/noushousakuretsu


(c)2015映画「脳漿炸裂ガール」製作委員会

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足立謙二
通信社記者を経てフリーに。雑誌『昭和40年男』やミニコミ誌、web向け記事など手広く執筆。特撮、アニメ、鉄道、昭和レトロ方面から最新ガジェット、ネットカルチャーなど得意分野は多岐にわたる。