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クラウドファンディングサイト“Kickstarter(キックスターター)”で6月、『最も短時間(1時間42分)で、100万ドルを調達したゲーム』というギネス記録を達成した、ゲームファンならその名を一度は聞いたことがあるであろう未完の超大作『シェンムー』シリーズの続編、『シェンムーIII』
キックスターターには開発資金のクラウドファンディングを募る発表の直後から、続編を長年待ち望んでいたファンからの出資が殺到。7月6日現在、50,389名の出資者から4,346,504ドル(日本円にして約5億3300万円)の出資が集まっており、7月17日のクラウドファンディング終了期限にはどれだけの額に達するのか、ネット上で大きな注目が集まっています。

本記事は、今話題の『シェンムー』とは何なのか、当時夢中になって遊んだ一ファンが想い出と共にゲームを紹介していく後編になります。
この記事を読まれる際は、『シェンムーI』を紹介した前回から読んで頂けますと、より楽しめると思います!

数々の謎を残して終わった『シェンムーI』と、厳しい環境で開発された『シェンムーII』

前回ご紹介したように、横須賀という街を舞台に作り上げられた『シェンムーI』というゲーム。
当時としては非常に画期的なオープンワールド形式のシステムを持ち、ユーザーに全く新しいゲーム体験を魅せてくれましたが、実は肝心なところのストーリーは殆ど語られておらず、主人公が横須賀を出て香港に渡るシーンで終了してしまうのです。
「父の仇と父の過去とは?」「問題の根幹であるキーアイテム”鏡”とは?」「ヒロインの出番少なくね?」など、『シェンムーI』で語られなかった数々の謎の続きと、さらに大きな街、香港を舞台に作られる世界観と新たなストーリー、それが『シェンムーII』でした。

約100万本(直販30万本 店頭70万本)という売上を記録した『シェンムーI』ですが、開発に64億円と言われる膨大な開発費がかかっており、これでも赤字だったと思われます。
3部作という予定もあり、開発が続けられますが、香港という街の作り込みは想定以上だったのでしょう。発売日は何度も延期されていきます。またこの頃から、少しでも開発費を回収しようと、涙ぐましい商売が始まります。
例えば…

「生きた英語、学べます」を合言葉にした『US版シェンムーI』を発売。

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US版『シェンムーI』パッケージ

ゲーム本編で使用されたムービーを基に作られた、『シェンムー・ザ・ムービー』なる映画を上映。

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『シェンムー・ザ・ムービー』DVD

これで良いのだろうかとユーザーも心配になる販売戦略を繰り広げます。さらには、「シェンムー・プラグイン」と名付けられたゲーム制作者向けツールの広告を、「ゲームファン向けのゲーム雑誌」に載せるなど、とにかくシェンムーの名を人々の記憶から消さぬ為、なりふり構わぬアプローチが試みられました。

そうこうする内に、シェンムーの開発メーカーであり、ゲームハードであるドリームキャスト(ドリキャス)を生産していたセガは社長が変わり、名物会長として知られた大川功氏は逝去。さらに不幸は続き、ソニーが生産するプレイステーション2(PS2)とのゲーム機戦争に敗れたドリキャスは生産中止に追い込まれ、セガのゲームハード事業撤退が宣言されました。
しかしながら、「『シェンムーII』だけはドリームキャストで発売する」と発表されます。ん、『シェンムーII』だけ?「あ、あれ!? シェンムーって3部作じゃなかったっけ?」と、遠回しに『シェンムー』の開発は頓挫することをほのめかす発表を聞いて、当時の筆者は哀しい思いにとらわれたものです。

そんな『シェンムーII』が発売されたのは2001年9月6日。前回解説したように『シェンムーI』の評価が賛否両論かつある程度下振れで固まってしまっており、しかも撤退するゲームハードでの発売とあって当時の世間の注目は厳しい物でした。
注目度を上げるべくTVCM放送が決行されますが、なぜか『実写映像を使って、マシンガンを持った肉屋のおっちゃんが、唐突に主人公を狙って乱射し始める』という、ゲームの魅力とは程遠い内容。どれだけの人が、「へー、肉屋のおっさんが発狂するのか。よし!買おう、シェンムーII!」となったのかは不明です。心許ない援護射撃でしたが、遂に『シェンムーII』が発売されたのでした。

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トップ画像出典https://www.kickstarter.com/projects/ysnet/shenmue-3
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ONE
データ分析を趣味と生業にしている30代。分析結果をすぐにテストできる対戦ゲームが特に好き。インターネット界隈の分析も得意。