舞台、テレビ、映画俳優として、また声優として、いま最も注目を集める役者の一人である山本匠馬が新たな作品にチャレンジする。

山本匠馬が新境地を見せる舞台は『銀河英雄伝説 星々の軌跡』。原作の小説は累計1,500万部の大ベストセラーであり、これまでコミック、アニメ、ゲーム、宝塚といったさまざまなメディアで作品化されている。
舞台は2011年よりスタート。ファンの圧倒的な支持を得て、この長大な物語のさまざまなエピソードが舞台化されてきた。
河村隆一、間宮祥太朗、中川晃教など、すでに何度もこの舞台に立っている役者をはじめ、毎回新しいキャストを招聘。
彼らの呼び込む新風も大きな話題となる。今回、山本匠馬はどんな表情を見せるのだろう。会場となるZeppブルーシアター六本木での舞台稽古初日に密着した。

■プロローグに2時間をかける“場当たり”

Tシャツやパーカーといったラフな姿の役者たちがロビーでストレッチしたり、客席で談笑したり。
その間を縫うようにスタッフたちが行き交う。開幕初日を迎えるまでは、劇場すべてが役者とスタッフだけの空間だ。
この日がセットを組んでの最初の稽古ということもあり、まずは役者から舞台美術スタッフへ感謝の拍手で稽古がスタート。
舞台にのぼった役者たちのマイクチェックも月並みなものではなく、軽妙なワンマンショートークあり、新人役者いじりあり。
たとえ稽古中でも、舞台に乗れば人を楽しませずにはいられない、さすが一流のエンターテイナーが集う作品ならではといった雰囲気だった。

大道具小道具、音響や照明のタイミングをはかりながら進める、いわゆる”場当たり”を初めて見た人は驚くかもしれない。
15分ほどのプロローグに2時間程度の時間を費やす。
役者の立つ位置、照明の強さ、舞台転換のきっかけなど、すべてのタイミングが合ったうえで、さらに“よりよい一瞬”を求め、真摯な姿勢と粘り強さをもって進めていく。
そのたびに役者も舞台を出たり入ったり、同じ動きを何度もくり返す。

役者とスタッフがひとつになり“よりよい一瞬”をひたすらに積み重ねて、ようやく開幕となるのだ。

■1500年後を舞台にしたSF人間ドラマ『銀河英雄伝説』

銀英伝トップ

ここであらためて『銀河英雄伝説』という作品について紹介しよう。
物語の舞台は1500年後の未来。
人類は宇宙に進出し、独裁政権「銀河帝国」と民主主義を標榜する「自由惑星同盟」が長きにわたり戦争を続けてきた。
そして銀河帝国にはラインハルト・フォン・ローエングラム、自由惑星同盟にはヤン・ウェンリーが同じ時代に生を受ける。
この2人の天才が登場したことにより、歴史が大きく動くことになるのだ。
戦いの中で生まれる、野望、裏切り、駆け引き、嫉妬など、未来を描きながらも人間の欲望は私たちの生きる現代と変わらず、大きな共感を呼ぶ。
圧巻の戦闘シーンと組織をめぐる攻防、個々の内面に渦巻く葛藤などドラマチックな見どころも多く、男女問わずファンを増やし続けてきた。
山本匠馬が演じるのは、銀河帝国に属し、ラインハルトの片腕として部下からも絶大な信頼を得る若き勇将、ウォルフガング・ミッターマイヤー。

ミッターマイヤー

兵を動かすスピードが圧倒的に速いことから「疾風ウォルフ」の異名を持つ。
正義感が強く、戦術の天才。
まったく完璧な人間でありつつ、情に厚く、人間くさい魅力もあるキャラクターだ。

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平瀬菜穂子
出版社勤務を経たのちフリーに。主に人物インタビュー記事を多く手がける他、演劇・舞踊評などで活躍している。また80年代のサブカルコラムなども守備範囲。