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ダニエル・デイ=ルイスほど、アカデミー賞に愛されている俳優はいないでしょう。1989年の「マイ・レフトフット」、2007年の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、2012年の「リンカーン」で、3度も主演男優賞を受賞した唯一の俳優です。

ハリウッドの怪人、ダニエル・デイ=ルイス

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (字幕版)

コリン・ファースやショーン・ペン、ケヴィン・スペイシー、ジャック・ニコルソンなど、歴代のアカデミー主演男優賞受賞者たちを見てみると、巧みな技術でニュアンスを操る演技派の印象が強いのですが、一方のダニエル・デイ=ルイスは、憑依型の体当たり派で、圧倒的な存在感でぐいぐい攻めてきます

そこで今回は、役者ダニエル・デイ=ルイスの神々しいまでの演技が見られるイチオシ映画として、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」をご紹介したいと思います。

心を直撃する嵐のような男、ダニエル

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は、石油採掘業で財を築いた男の物語です。

野心と欲望むき出しの主人公の名は、演じるダニエル・デイ=ルイスと同じく「ダニエル」で、まさにはまり役。その演技は高く評価され、2007年のアカデミー賞のほか、ニューヨーク批評家協会賞やロサンゼルス批評家協会賞、さらにゴールデン・グローブ賞など、権威ある映画賞の男優賞を根こそぎかっさらってしまうほどでした。

20世紀初頭のカリフォルニア。吹き荒れる風と貧しい土地、ライフラインや教育も満足に整備されていない未開発の町は、同時に、一攫千金のチャンスの場でもありました。主人公ダニエルは、地底に眠る原油の存在にいち早く目を付け、地元住民の心をたくみに操りながら近づいていきます。

スクリーンショット (452)

彼の傍らにはいつも息子が。ふたりは強い愛情と絆で結ばれているように見えますが、実は本当の親子ではありません。人々の警戒心を解くために、孤児となった友人の息子を自分の子として育てていたのでした。

スクリーンショット (455)

ダニエルにとっては息子でさえも、利用価値のある道具にすぎないのかもしれません。しかし、石油採掘中に起きた爆発事故で息子が重傷を負ったときは、我を忘れて駆けつけます。

単に冷徹なだけではなく、コントロール不可能なほどの激しい愛憎を垣間見せるダニエルの姿には、人間が持つ業の深さというものを考えさせられます。

<次のページ:欲望が引き寄せた因縁のふたり>

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内野チエ
ライター。 Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。高校の3年間で1000本以上の映画を鑑賞、ときには原作と比較しながら楽しむ無類の映画好き。