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静かで心休まるキャンプの夜。
頭上には満天の星が輝き、都会の騒々しさとはかけ離れた空間が広がっている。
湧き水でコーヒーを淹れれば、夜風に運ばれてくる森の空気とコーヒーの香りが入り混じり、もはやサードウェーブなど鼻で笑いたくなるほどの旨さ。
一口すするごとに体の芯をぬくもりが伝い、これ以上にないと言っていいほどの充足感が心を満たすだろう。
そんな完璧な一場面の名脇役とも言えるのが、ランタンだ。

風に揺れるオレンジ色の炎は周囲のコントラストをはっきりと浮かび上がらせ、目に映る世界を芸術品のように美しくする。
足元に伸びる自分の影さえも、まるで特別な影絵のように見えるものだ。

しかし、人が描く理想というものは、えてして現実とはかけ離れたところにある。
だからこそ夢は、しなやかで自由、美しく完璧な姿を持つのではないか?

話を戻そう。
もしも初心者のあなたが現実に(!)夜のキャンプを楽しみたければ、今すぐお買い物メモの項目にある「ランタン」の上に鉛筆の先をあてがい、濃く太い2本の線を横に引くべきである。
あれは憧れだけで手を出すべきものではない。
何度も散々な目にあった筆者がそう言うのだから間違いない。

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なぜならランタンは、アウトドアグッズの中でもっとも手ごわい道具と言っても過言ではないからである。

ランタンを使用するには、まず、いくつかのステップを乗り越える必要がある。

一つ目は燃料の確保。
ランタンにはガソリンを注入するタイプや、ガスボンベをセットするものなど様々存在する。
しかし夜間、人里離れた場所で燃料が切れてしまうともうどうにもならない。
燃料の消費が常に気にかかって、びくびくしてしまうというのが欠点だ。

次にマントルの問題が立ちはだかる。
マントルとは繊維質できた球体で、その中で炎を燃やすことによって一定の明るさを得ることができるのだが、こちらもやはり消耗品となる。
サイズは鼻紙一枚よりも小さく、山ほどある荷物の中で行方不明になる率が非常に高い。
しかもセッティングにコツが必要で、なかなかどうして面倒くさい。

最後にほやだ。
ほやとは炎を覆うガラスのこと。
もしもキャンプ場で「ガチャン」とガラスの割れる音が鳴って悲鳴が聞こえ、その辺り周辺がいつまでたっても暗かったら、十中八九ほやが割れたということだ。

ランタンの灯りを楽しむには、この3つの難関を突破しなければならない。
さらに点灯儀式はきちんとした手順を踏まえなければならず、こちらの動画で予習しておくことをオススメする。

点灯までの所要時間は約1分。だが、初心者は10分で成功すればいい方だ。
太陽は沈み始めると一気に暗くなることをご存知か。
焦りとの戦いの中で、たったひとつの失敗が取り返しのつかない重大な結果を導き出し、真っ暗闇の中で無言の気まずい夜を仲間たちと過ごすことになってもあなたはそれで平気か。

これだけの苦労をしょい込むのなら、電池式または充電式のポータブルライトの方が断然良い。
燃料コストもかからず、スイッチひとつで簡単に点灯。火傷の心配もなく、メンテナンスフリーなうえ、強風が吹いても絶対に消えない!
文明が発達した世の中で、ランタンに固執する必要がどこにあるのだろう?(と言ってしまえば、キャンプに出掛ける意味さえ雲散霧消してしまうが……)

image by 写真ACぱくたそ

トップ画像出典http://www.photo-ac.com/main/detail/195294
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内野チエ
ライター。 Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。高校の3年間で1000本以上の映画を鑑賞、ときには原作と比較しながら楽しむ無類の映画好き。